輸入盤で一足先に見ましたが、さすが場外チケットが30万円で取引されていただけある素晴らしい出来でした。
CDを聴いて期待が大きくなっていたが、決して裏切られる事はなかったです。
衣装など完全に時代背景を無視して、現代の『椿姫』にしてあるのが、すごく新鮮でした。
第1幕は、ガラーンとした白い半円の舞台にピンクのソファと舞台の右側に大きな白い時計があるだけの一見すると殺風景なイメージがあるのだが、それが返ってヴィオレッタ演じるアンナ・ネトレプコを映えさせていました。最初の数分の間で自分が一気にこの作品に惹き込まれていっているのを感じました。
第2幕は、ソファが数個増え、アルフレードもヴィオレッタもソファにかかっているカバーと同じ花柄のガウンを着ていちゃつくところから始まります。第1幕と比べると照明も曲も全体的暗いイメージが、なお一層ネトレプコの色気をかもし出していました。
第3幕は、より一層暗くなり、時計もなくなってしまい、ヴィオレッタの孤独の死のシーンが印象に残りました。
最後の方になってやっとわかったんだけど、あの大きな時計は、ヴィオレッタの死が迫ってくる恐怖と時間を止めてしまいたい、それ以上に時間を戻したい期待の表れだったんですね。
フランコ・ゼッフィレッリ演出の『椿姫』と比べると驚くほどシンプルな演出な分、出演者の演技なども充分堪能できました。
CDで聞く以上にヴィジュアル的にも、とても素晴らしく、大変楽しめた作品です。
特にアンナ・ネトレプコの容姿と声の美しさは、際立っていました。
これからの活躍にすごく期待してしまいます。
ヴェルディ 歌劇《椿姫》全曲